2011年2月14日月曜日

転校生M、冷凍モモンガを買う

芥川賞を受賞した西村さんの「苦役列車」を読んだよ。

努力というものとは無縁の自堕落な主人公の下品で惨めで辛い場面や行いが矢継ぎ早にどんどん目の前を流れて行く、停滞する生活なのにスピード感のあるお話でした。
(↑当たり障りない感想)


こういう惨めな恥辱を曝け出す私小説は、読後にどんな気持ちを作ればいいのかその答えが未だに出てきません。

とりあえず一回読んだ今は自分の欲求がリクエストするままに、『こうならなくてよかった。』という高慢な思い上がった感慨でもって今の自分の幸せを再確認することにしました。


しかしそれだけではない、何かモヤモヤした気持ちが浮かんでいます。

同情とかそんな気持ち無く自分をこの苦役列車に重ねてしまうような感情がそれです。

それは僕の生来の自虐的思考によるものなのか、本当のところは現状に満足や幸せなど何も感じていないのか。

このお話の凄惨さは、そんな自分の苦悩も「薄っぺらい」と一笑に付すようなどこまでも深い闇を持つ、という感じでもなかったです。


正直、読んでて楽しかったですが、人生に関わる根源的な問いとかそんなものを喚起されることはなかったです。

もっかい言います、読んでて面白かった。本当に。

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