2011年5月15日日曜日

インガロイドM(仮)

日常に溢れかえる事柄やイメージを、世界における壮大な構造の一つの縮図として結び付けて1つの真理を作り出したように考える一連の行為は、Mが精神の健全性を守るために行う方法である。
 
その行為の愚かさに気付くことは容易くなく、その行為によりMは主観を客観とをはき違え、また境目は互いの領域を侵し合う。

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最初から実現を求めぬ理想。
ただ阿呆のように手にぶらさげ、ときたま誰かにその内容を漠然と伝える為の理想。

高潔に生きる為にその発想を開始したことは間違いない。
しかし今ではこのザマである。
理想は、Mが様々の思想や人生と交わり、成長と懐胎の末、心を苦痛に歪めながら産み落とした「子」であった。
 
確かに息づき、変わり、成長するその思念を、しかし社会は「妄想」という言葉に閉じ込め外に出すことを強く否定した。
 
 
社会はそれを 「妄想」という言葉に閉じ込め、外に出すことを強く否定した。

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肥えた容貌を恥じて衆目を忌む者の如く、Mは衆目を憎悪し、またそれと同等以上の嫌悪をそこに見い出した。
本当は、そのような目はどこにもなかったのかもしれない。Mが自身の妄想の中に作り出したものを感じているに過ぎないのかもしれない。

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轟音を鳴らし異常な速度で回転する黒い楕円形のそれは、少しずつその大きさを拡げていく。
 
果たしてそれは本当に巨大化しているのか。
それともこちらに近づいてくるが故の目の錯覚なのか。

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